2009年12月24日

リーダーが必ず受け入れるべき3つの指針?

「リーダーが必ず受け入れるべき3つの指針」(DIAMOND online) http://diamond.jp/series/sales_manager/10010/

ネットで偶然読んだ記事なんだけど、なんか「納得はできるけど賛成できないな、これ」と思ったので、ネットの片隅で勝手に反論。

【リーダーが受け入れる3つの指針】
 ・部下はリーダーの30%しか仕事ができない
 ・組織はリーダーの器以上に大きくならない
 ・部下に決して弱みを見せてはならない

これ、それぞれ「と思うと、気が楽だ」って文言を入れるとしっくり来るよね。
読んでみて「そうそう、そう感じることはある」というのが納得できた部分。
「でも、それってそう言い切るのが良いことなの?」というのが賛成できない部分。
ということで、反論してみたい。
まあ、技術畑と営業畑とは全く別のものなので、お前が反論するな!という話はあると思うけどね。

ちなみに自分は、開発でリーダーにたった時は「自分はカレッジ型」であるということを最初に公言してしまう。性格的にも「親分・子分型」運営なんてできないし。

「部下はリーダーの30%しか仕事ができない」は「部下は自分の思っていることの30%ぐらいしか汲んでくれない」



仕事柄、営業の人とは付き合いがあるし、「どうして営業と現場とは理解し合えないのだろう」というのをいつも悩んでいる。
で、ある「人売りIT企業」の営業さんの話。

その営業さんは「とにかく人を売って案件数かせぐ」ことが得意で、いつも「営業の中で会議ばかりしてちっとも外回りをしない」人たちがいるのを不満に思っていた。
一方、不満に思われた方といえば、いつも「外回りして数を稼ぐだけで、きちんと技術者と案件とのマッチングをしていない」のを不満に思っていたらしい。
技術者的に頼りたいと思うのは、きっと後者だろうね。そこでその営業さんはずいぶんと悩み込んでいた。そのためにスランプになった。

ある日、その営業さんが社長と酒を飲んで、言われたらしい。「彼らのやり方は、技術者を幸せにさせようと努力している点で、とても正しい。そこは理解して欲しい。ただし、会社としてはそれでは回らないんだ。だからキミのような数を稼げる人も必要なんだ。会社としては両方とも居てもらわなければ、成り立たないんだよ」
身も蓋もなく言ってしまえば「キミは必要悪なんだよ」ってとこだろうけど、それでもこの営業さんはそれを聞いて元気になり、仕事へ前向きになった。

部下がリーダーの想定している(技術的/仕事量的/思想的)範囲と一致するのはマレだよ



そう、人は本当にそれぞれで、同じGoalをかざしても、そこへの立ち向かい方も色々なら、持っているモノも色々だ。まずそこをしっかり抑える必要がある。
技術の話になるともっと色々になる。ある人は設計は得意だけどコーディングで凡ミスをする、とか、ある人は環境設定周りは得意だけどなぜか設計能力はない、とか。
リーダーのやるべき事は、部下を30%しかできない人として扱うのではない。部下を一人ひとり見極めて、たとえ想定と違っていても適材適所に人をはめる事だ。できるなら本人にしっかり選択してもらった方が力になる。
そのために必要なのは、リーダーがGoalをしっかり見極めて全員の共通認識にしていることだ。それさえできていれば、チームはGoalへ向かえる形になる。(たとえイビツな形でも)
あとはもう、チームのハンドル捌きにかかっている。

へびの足。現場の人はもっと営業を頼りにし、営業をこき使うぐらいの勢いでいるべきだよ。

「組織はリーダーの器以上に大きくならない」ことなんてない



うむむ…部下を認めろ、は前の章でやってしまったな。では別の切り口で。

どれほどの現場で「このリーダー、使えねー」があることか。
けっこうこの体験をした人も多いんじゃないかな。自分もある。
そんな時にチームそのものがバラバラになった場合と、チームとしてはまとまってGoalできた場合とでは、いったい何が違うのか。

プロフェッショナルを自覚した部下をどれだけ囲い込めるかが、組織を成功に導くポイントだよ



チームとしてまとまった場合をよく見ると、プロフェッショナルの意識をつよく持つ人がいた、という事に尽きる。
こういう人が一人いると、その人が変わりのリーダー(影の支配者)となって取り仕切るようになる。複数いると、それぞれ協調し出して、なにか勝手に動いているようで全体としてはまとまっている、という面白い運動コラボレーションがおこる。

プロフェッショナルとそれ以外の違いはなんだろうか。
それはGoalを見出す選眼力、そしてGoalに到達するために有効ならどのような手でも手を尽くす貪欲さ、そして自己責任感の強さ、じゃないかと(個人的に)思う。

逆に、組織的に・リーダーの権限でキャップを設定してしまい、こういうプロフェッショナルな人の行動を制限するようになると、チームは勢いを落として減退する。大型開発でひじょうに多いのだが。

「部下に決して弱みを見せてはならない」で封じ込められるリアルな現状分析



叱咤激励で部下がシャキン!目標達成!すばらしい!!
でも違うんじゃね?
まあこれ、営業にありがちな典型的なノリだけどね。

でも、昔読んだ開発系のリーダー養成本でも同じことが書いてあった。
はっきり言おう。楽観主義と根性論で仕事する時代は終わったよ。

部下がリーダーの顔色を見て仕事をするのは、じつは「それ以外にGoalを見据える判断材料がないから」なんだ。

きちんと「見える化」しよう。そのうえで、GoalとVisionを持とう



さっきからGoalを持てと強調しているけれど、Goalを持つのはリーダーとしてではなく、チームとして持たなくてはいけない。
チーム全体が「Goalは何なのか」を見極めて、はじめて「Goalへ向かう以外の余計なもの」も明らかになる。

そして、Visionもチームとして持たなければいけない。ようは「どういうルートでGoalまでドライブする?」という点だ。
ひとつは「余計なもの」を極力・ギリギリまで削る努力をすること。
もうひとつは「有効なもの」をどんな些細なものでも貪欲に取り入れること。
これをやるためには、リーダーが頭で考えていたのでは絶対に間に合わない。自分の知識は限界があることを自覚しよう。
そのために、情報はなんでもチームで共有しよう。そして部下にはどんどん相談し、意見出し合える雰囲気をつくろう。
そう、「相談するのはOK!」なんて、まだぜんぜん生温い。mustなんだ。

Visionをしっかり見るためには、もちろん現状を全員の認識にしておく必要がある。どんな些細なことも隠し立ては無用だ。

そしてここが重要な点だけれど、これらを踏まえて「給水ポイント」を明確化しよう。
Goalまでとても長かったとしても、中継地点とそこへ到達するルートが頭にあると、人はわりと頑張れる。
そこでほっと一息つけると、次の中継地点に向かう大きなバネになる。
切羽詰ったプロジェクトほど忘れやすいことだけれど、大事だ。

時々、情報を独占することと意思決定を独占することで自己の権力増強を図る人がいる。
こういうリーダーの下では、チームは絶対に大成しない。チームメンバーにいるだけでも有害だ。

どうも、この「部下に決して弱みを見せてはならない」の章がいちばん嫌いだな。ありがちな「無理を通せば道理が引っ込む」を強調しているようで。

なんというか



この片山という人はよほど優秀な人なのだろう。
色々部分的にはいい事も言っていたりするのだけれど、全体的に他人を見下している雰囲気がある。

一方で思うのは、こういった論が気持ちにひびいてしまう背景に、日本によくある「プロフェッショナルじゃなくても仕事になってしまう」傾向があるように思う。
たとえば、この記事がおそらく対象としているだろう係長・課長クラスには、たいていの会社ではそれほどたいした人事権がない。
開発プロジェクトのリーダーともなれば尚更で、ほとんどの場合は寄せ集め部隊で出発する。(それが社外/社内関係なく)
そのために、「この人は完全にプロジェクトにミスマッチなのでは」と思っても、使わなければいけないという傾向がある。
一方で、「この人がプロジェクト的に欲しい」と思っても、なかなか融通が利かない傾向もある。
これって、本来は誰にとってもとても不幸なことだと思うんだけどね。

色々読んでいると、この人も各論・実践論ではちょこちょこといい事を言っているので、そこは学んでいいだろう。
でも、この精神論まで模倣するのは、とても危ない気がした。

ここで書いてることは理想論?
うん、そう、自分の中にある理想論さ。
でも、誰かが理想論をきちんと言わなければ、誰がそれを理想論だとわかるんだい?
ラベル:リーダー論
posted by 未知夢 at 18:39| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | システム開発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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